またスキーに行きたい

毎年家族で蓼科まで滑りに行ったけど、この冬はちょっと無理かな。ここ数年は、滑るよりもゴンドラ降りて、ボンヤリ白くて遠い峰峰の景色を見るのが、一番の楽しみだった。自分が息を止めれば、音も無くなるアノ感じが好きで。
独身の時、マウントクックの氷河に降りた。氷河ってさぞかし広々してて気持ちエエやろと期待しまくったけど、逆。「広すぎて」その広さの実感が全然沸かない。移動の為のセスナが去ってしまうと、ほんまに”音が無い”。フルボリュームで叫んでみたけど、一瞬で景色の白に吸い尽くされてしまった。深雪とかパウダーとかそういうカテゴリには絶対くくれない、何というか「何億年も前からある雪」の上、滑ってもこれまた無音。自分と友人の二人、あとはガイドが一人。生き物はこれだけ。
数十m先を行くガイドが大きくターンし、自分は横着してそれをトレースしなかった。フイに目の前、白にブルーの綺麗なマダラが見えて、それにドンドン吸い寄せられて行ったのだけど、突然体の中の「おい、ヤバイぞ!」という声で雪面に転倒した。
ゆっくりと上半身ダケ起して、目の前の現実を見ると、地の底からブルーが這い上がって口を開けてた。いわゆる「クレバス」。クレバスの向こう側には、ガイドがザイルを手に持って何か叫んでる。自分のスキー板の先端数センチが、クレバスの上で宙に浮いてる状態。

無音の世界で、生まれて初めて自分の「心臓の音だけが聞こえた」瞬間。


DSCN0094

(本文とは関係ないけど、桂川シクロの応援にきた二名。さっぶい中、よく寝転んでられるね、、、)