燃やしたこと

gut
今日の話は長いで。読んでくれる奇特な人、おったらゴメン。

ある方のブログにご本人所有のギターを見つけたのだけど、どうもテレキャスター
ぽい。その人いわく「若いころ、ギターのヘッドをギコギコ切ったので、そう見える」
ということ。
その”若気の至り”に激しく同意せざるをえない事実を思い出した。
ブログに載せようとおもてわざわざ実家からギターを持ってきたんで、
みんな目を凝らして読むようにたのむわ。

実はナチュラルな木目に飽きたころ、ギター雑誌を眺めていたら、
渋いギターが目に飛び込んできて、”モーレツ”にハートを射抜かれたわけ。
つまり木目がどす黒く光る「サンバースト塗装」というやつ。
サンバースとの説明はこれ↓

http://www2.tokai.or.jp/nex/electric/yougo/sgyou.htm

どんな塗装かサッパリ分からんかった自分は、近所に住んでた「木材の専門家」
のおっさんにアドバイスを求めたのだわ。
ギターの写真を一目見るなりおっさんは「こらぁ簡単な話や。火ぃつけんねん。
わしがこしらえた裏手の家の塀がこれで造ってあるから、いっぺん見に行ってみ!」

言われるままに裏へいったら、ナルホド。板塀が綺麗に燃やして木目が浮き出てる。
”へぇ〜、ギターの塗装技法を建物に使うなんて、日本家屋も奥が深いなぁ”
と関心し、早速当時近所に住んでたベース担当の吉田君を呼び出した。
吉田君は高校1年のくせに喫煙歴がある−>だからライターを持っている という
単純明快な発想。

事情を話したらアッサリ「放火」を快諾。アホの友人もやっぱりアホやということ
やね。持ち物はジッポのライターだけでええよと言うたのに、現れた吉田君は
リッケンバッカーのベース(当然にせもん)を肩から下げてノコノコやってきよった。

儀式はオゴソカに始まった。ギターのネックを抱きかかえてボティを空中に
浮かせると、吉田君のジッポの炎がジリジリとギターを焦し始めたがな。予想では
ガンガン燃え進む筈やったのに、全然アカン。少し燃えた部分をよく眺めたら、
木材むき出しじゃなくて、その上に透明のポリウレタン層があることが分かった。
分かったけど別の手を考えるでもなく、アホ二人はひたすらジッポであぶり
続けたわ。

するとポリウレタン層にようやく小さな炎が安定して着火。吉田君突然ライターを
地面に放り出し、ベースを抱えて「今や!」と叫んで、ディープパープル
のヒット曲「バーン」のイントロを引き始めた。当然外やからアンプなんか無い。
アンプの無いベースギターはほんまにショボイ。ショボイけど吉田君本気や!
「お前も早よ弾け!」火のついてるギターを抱えて呆然と吉田君を見ていると
「アホ、これはKISSのライブや!はよ弾け!」
「でも曲はKISSちゃうで!?」
「ギターを燃やすのはKISSや! でも今の気持ちは”バーン”や!」
「そやな! バーンやな!」

なんか分からんけど、ノリノリでベースをべろんべろん弾く吉田君を見てたら、
弾かなアカン気持ちになってきた!でも二人とも悲しいけどイントロしか
知らんから、そこばっかり延々弾いてたわ(火傷に注意しながら)。
相変わらずギター表面はチョロチョロしか燃えへんのに、ギターに付けてた
ストラップが延焼し出した。これは布でできてるからアッという間に全焼
の予感。予感どころか「予感的中」。

ストラップが切れて「アホのディープパープル」野外ライブも幕を閉じた。
多分このブログなんか絶対読んでへんと思うけど、
「吉田君、今でも燃えてるか!!!」