自転車で生きていく子たち

フロッピーの掃除してたら、以前雑誌の懸賞に投稿した文が出てきたわ。タイトルは「3人のベロチスタ」といいます。ベロチスタはイタリア語で”高速で移動する乗り物の操縦士”って意味がある。本屋で立読みして仕入れたネタな。今所属しているクラブチームの実業団登録チーム名にしました。この”3人”が、ときどきブログで出てくる「ニッポ男」「インタマ男」。そして後一人は、今ナカガワの一軍で走ってる子。3人とも同級生で現在32歳。お互い19歳の時にホビーレースで出会って、関西や鈴鹿のレースでは火花を散らしたライバル同士だったわけや。その出会いから現在までを時系列に書いた「泥橋渾身の作」。結果ははがき一枚の佳作で終ったな。大賞は、なんか義足のランナーの小説やったと思う。それはエエねんけど、いまだにこの3人は別々の世界に生きているのに、ライバル視しているのが微笑ましいわ、おっさんにはな。
今やロード界の頂点付近をうろついてるニッポ男は、当時どん底やったのよ。練習しすぎてフトモモの乳酸が壊死する”筋幕炎”で入院手術を繰り返しておった。片やインタマ男は、留学先のバンクーバーでUSPのサテライトチームで転戦中。ナカガワの子も、単独フランスへ渡り、ルイゾンボベRCで激闘の日々。見舞いに行くと、光の消えそうな目をして、ぼんやり病院のリノリウムの床に視線を落とし、全然俺の顔を見よれへんかったわ。冗談言うても愛想笑いで返すだけやったしな。イノアックやキナン時代も結構辛い日を送ったらしいけど、”自転車で生きていく”と決めた意志は強かったんやろな。
インタマ男の方が登りやレースを読む力は、ニッポ男より数段上やったな。頭がエエとはこういうことや。最近の新しい商品展開を見ても、相当がんばってるのが見て取れる。輪界のみならず、アウトドアメーカーとのチャネル開拓にも余念が無い。油断も隙も無いとはこのことや。同業社じゃなくてホンマよかった。
今、一番心配なのはナカガワの彼。恐らく関西中の選手が彼を心配してるという事実がオモロイ。いまだに定職についとらん。でも、なんか憎めん得なヤツや。
投稿した小説はもう廃棄したけど、この先もこの3人がどうなるか、事あるごとに書き留めたいとおもてる。

自転車はある意味「魔物」なんで、また逆転、逆転があるやろな。自転車に乗りながら、自分の道を探す日々は、自分がしたかったのに出来なかった憧れでもあるし。自転車、怖いけど、「エエな」。

自転車:通勤往復20km 帰りはallダンシングで、道行く人に不気味がられた。望むところや。