友との別れ

小学校の時に、切ない分かれを二度経験してる。”切ない”の本当の意味は未だに判らんのだけど、子供ゴコロに喉の奥が苦くなったわ。
一回目は小学校2年や。クラスに今でいう「自閉症」の子がおったよ。自分の前の席で、授業中とか落ち着きが無く、休み時間も給食時間も妙な行動を起こす。それが当時の自分には興味深くて、気がついたら、いつもその子の手を引いていたような記憶があるな。逆上がりが出来なくて教えて欲しいゆうからつきあったけど、ホームルームが始まる時間でも止めようとせん。こっちは先生に叱られはせんかと、ソワソワしてた。しまいには泣きたなったけど、逆上がりにつきあったな。夏の夕暮れは長いけど、6年生の下校時間過ぎても必死で足を振り上げてる彼を見てた。出来なくてポロポロ涙をこぼす彼の手を、無理やり引いて家まで送っていった。ある日突然学校を休んだので、給食のパンを家まで届けに行ったわ。ほんだら、お母さんが「別の学校に行くので、もう会われへん。」と言わはった。今にして思えば、彼のような子供ばかりの学校に行くのやろな。お母さんにパン渡して家の門出たときに、後ろから大声聞こえたよ。振り返ったら彼が自室の窓から乗り出してた。「○○君、僕なぁ、次の学校では逆上がり、一番になっとくわ!3回連続とか練習するからな!3回出来たら手紙出すから、見にきてな!絶対やで!」。とどけたパンを両手に持って振っとる。振るな!食いもん粗末にすな!ついでに泣きながら言うな!そうおもったけど、「二回できたら手紙書いてや!」というのが精一杯だったな。
小娘にせがまれて、今でも時々逆上がりするけど、ドキドキするな。子供の手前できへんかったらかっこ悪いとか思うし。当時の彼は、できない事をかっこ悪いなんて思ってなかったやろな。カッコ悪いよりも、「できたい」思いで一杯やったんやろな。明日、逆上がり、やろかな。